熊本大学薬学部薬用植物園 植物データベース

イネ科
Poaceae
ライムギ
Secale cereale L.
別名
クロムギ,ナツコムギ
ライムギ
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  • ライムギ
英名
rye
中国名
黒麥
花期
4~5月
生薬名
麦角(バッカク)
薬用部位

花に寄生して生じる菌核;バッカクキン

成分

アルカロイド(ergometrine, ergotamine),キサントン類(ergochrome類)

化学構造式

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  • ライムギ 化学構造式1
  • ライムギ 化学構造式2
  • ライムギ 化学構造式3
産地と分布

南コーカサス,小アジア原産.

植物解説

一年草.草丈1.22 m.稈は上部に細毛がある.稈頂に穂をつける.穂はコムギより長く扁平.頴果は帯緑褐色または紫色を帯,脱穀しやすく,長さ約8 mm,背面中央に1溝があり,先端に短毛がある点はコムギに似る.

薬効と用途

バッカクキン(Claviceps purpurea)はライムギをはじめ,イネ科植物に寄生する子嚢菌.様々なアルカロイドを含む.その中のエルゴメトリンは陣痛促進薬,子宮収縮止血薬として,エルゴタミンは子宮収縮薬,血管収縮薬,片頭痛治療薬となる.

中世ヨーロッパではバッカクキンに寄生したライムギを食べることにより,恐ろしい中毒が起きている.麦角血管を収縮させる作用があり,手足への血行を妨げ壊疽を起こし,ひどい痛みもなく手足を失う.

ライムギは主にパンの原料として利用される.小麦粉のパンよりも色が黒く,黒パンと呼ばれる.そのほか,ウイスキーやウォッカの原料となる.

夏期冷涼な気候に適し,耐寒性が強く,乾燥した痩せ地にもよく生育する.

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