熊本大学薬学部薬用植物園 植物データベース

ナス科
Solanaceae
ヒヨス
Hyoscyamus niger L.
別名
ロウトウ
ヒヨス
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  • ヒヨス
  • ヒヨス
英名
henbane, black henbane, stinking nightshade
中国名
天仙子,莨菪
花期
春~夏
生薬名
①天仙子(テンセンシ),莨菪(ロウトウ),②ヒヨス葉(ヒヨスヨウ)
薬用部位

①種子,②葉

成分

アルカロイド(hyoscyamine, scopolamine, atropine

化学構造式

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  • ヒヨス 化学構造式1
  • ヒヨス 化学構造式2
  • ヒヨス 化学構造式3
産地と分布

ヨーロッパ,アジア西部,北アフリカに分布し,山地,道端,川岸の砂地に生える.

植物解説

多年草.草丈2080 cm.茎はまばらに分枝し,葉とともに短毛と腺毛がある.葉は互生し,楕円形で羽状中裂~深裂し,長さ1530 cm,主脈は白く太い.花は茎の上部の葉腋に横向きに付き,黄色で紫菫色の筋がある.萼は蕾形で先はやや開いて浅く5裂する.花冠は広鐘形で径は2 cm,先は開いて5裂し,裂片は丸い.

薬効と用途

副交感神経を麻痺させ平滑筋を弛緩させ,微量で鎮痛,鎮痙,鎮静作用があるが,毒性が高く民間での利用は避けるべきである.硫酸アトロピンや臭化水素酸スコポラミンなどの製造原料となる.硫酸アトロピンは胃潰瘍,十二指腸潰瘍,迷走神経性徐脈,有機リン系殺虫剤中毒などに利用される.臭化水素酸スコポラミンは麻酔の前投与,パーキンソン病などに利用される.

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