熊本大学薬学部薬用植物園 植物データベース

クスノキ科
Lauraceae
ヤマコウバシ
Lindera glauca (Siebold et Zucc.) Blume
別名
カワカミコウバシ,ショウブノキ
ヤマコウバシ
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  • ヤマコウバシ
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英名
grayblue spicebush
中国名
白葉釣楠,山胡椒,牛筋樹
花期
4月
生薬名
①山胡椒(サンコショウ),②山胡椒根(サンコショウコン)
薬用部位

①果実,②根

成分

根にアルカロイド(laurotetanine, boldine, magnocurarine)

化学構造式

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  • ヤマコウバシ 化学構造式1
  • ヤマコウバシ 化学構造式2
  • ヤマコウバシ 化学構造式3
産地と分布

本州宮城県以南~九州,および朝鮮,中国に分布する.

植物解説

落葉低木.葉はやや厚くてかたく,長楕円形ないし楕円形,ときに倒卵形,裏面は若葉の時絹毛におおわれるが,後に無毛,灰白色.葉は秋に枯れても落葉せず,萌芽の時期に落ちる.雌雄異株.花序は前年の枝に腋性する芽に少数付き,数個の花を散形に出す.日本には雌株しかなく,雄株なしで結実する.果実は球形で7 mm,秋に黒熟する.

薬効と用途

果実は腹部の冷痛に用いる.また,脳梗塞の言語障害につき砕いて湯につけて服用する.根はリウマチによる麻痺,腹部の冷痛,筋骨の深部痛に黄酒と水で煎じて服用する.いずれも中国で薬用にされる.

葉には粘り気があり,かつては蕎麦のつなぎとして利用された.葉の粉末は穀物の粉末に混ぜて食用とされた.果実から得た油は灯火用に利用された.

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