熊本大学薬学部薬用植物園 植物データベース

ウリ科
Cucurbitaceae
ヘチマ
Luffa aegyptica Mill.
別名
イトウリ、トウリ
ヘチマ
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  • ヘチマ
英名
sponge gourd, Egyptian cucumber, Vietnamese luffa
中国名
絲瓜
花期
9~11月
生薬名
①糸瓜(シカ),②ヘチマ水,天羅水(テンラスイ),③糸瓜絡(シカラク)
薬用部位

①果実,②茎の汁,③果実の繊維(ヘチマたわし)

成分

地上部にサポニン(lucyoside類)

化学構造式

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  • ヘチマ 化学構造式1
  • ヘチマ 化学構造式2
  • ヘチマ 化学構造式3
産地と分布

熱帯アジア原産で,各地で栽培される.

植物解説

蔓性一年草.茎は細く伸長し,軟弱で有稜.先端が2~4叉する巻きひげがあり他の物に巻き付く.葉は互生し,三角形か近円形で長さ13~30 cm,掌状に3~7浅裂し,裂片は漸尖頭で細鋸歯縁.雌雄同株.黄色の単性花を付ける.果実は長円柱形で下垂し,長さ20~60 cm.

薬効と用途

鎮咳,利尿作用などがある.生の果実を輪切りにして,そのまま煮てできた汁を服用する.また,熱病による口渇,化膿,下痢,咳,乳汁不足などには煎液を服用するほか,焼いたものを灰にして服用する.虫歯には乾燥粉末をすり込む.ヘチマ水は夏に地上30 cmほどで茎を切り,上部の切り口に瓶をあてがい,ビニールをかぶせて採集する.化粧水として利用され,ホウ砂を少し加え,よく溶かして用いる.ヒビや霜焼け,湿疹などに外用薬にもする.足によくすり込んでおくと,足の冷えがよくなる.痰切にはうがい薬とする.熟した果実を水に漬け,外皮や果肉を腐らせて洗い去り,乾かすとヘチマたわしができる.ヘチマたわしは去痰,歯痛,消腫作用などがあり,気管支炎,肺炎による咳,打撲,捻挫による腫れ痛み,リウマチによる関節痛などに用いる.乳が腫れて痛むときや下血,痔出血などにはヘチマたわしの黒焼きを服用する.

若い果実,蕾,若葉は揚げ物,汁の実,漬物などにして食用にできる.

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