熊本大学薬学部 薬草園 植物データベース

ウルシ科
Anacardiaceae
ハゼノキ
Toxicodendron succedaneum (L.) Kuntze
別名
ロウノキ,ハゼ,リュウキュウハゼ
ハゼノキ
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  • ハゼノキ
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英名
wax tree, Japanese wax tree
中国名
野漆,木蠟樹
花期
5月
生薬名
①木蝋(モクロウ),櫨蝋(ロロウ)
薬用部位

①果実から得た蝋,②根皮

成分

樹液にアルキルキノン(10’(Z)-heptadecenylhydroquinone, 10’(Z),13’(E),15(E)-heptadecatrienylhydroquinone).

化学構造式

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  • ハゼノキ 化学構造式1
  • ハゼノキ 化学構造式2
産地と分布

本州関東地方南部以西,四国,九州,沖縄,および台湾,中国,済州島,マレーシア,インドに分布し,乾いた斜面や尾根,沿海地方に生える.

植物解説

落葉高木.樹高約10 m.幹は直立し上部でまばらに分枝する.葉は互生し奇数羽状複葉,小葉は9~15個で広披針形か狭長楕円形で長さ5~9 cm,全縁で長鋭尖頭.腋性の円錐花序に黄緑色花を多数付ける.核果は楕円形で径0.8~1 cm.

薬効と用途

蝋は白色から微黄色の塊で,変化や腐敗しにくい脂肪であり,蜜蝋の代用として座薬,軟膏の基剤に重用される.ロウソク,ポマードなどの製造原料に用いられる.幹や枝にアレルギー物質のウルシオールを含むため,汁液が肌に付くとうるしかぶれに似た皮膚炎が生じる.

蝋を製する方法は室町時代に中国から伝わったが,それとは別に江戸時代中期に沖縄を経由して薩摩にも伝わり,九州各地でハゼノキが盛んに栽培された.熊本県水俣市では国内のハゼノキの30~40%を生産しており,生産量は日本一である.

ハゼノキの若芽の煎汁にマメ科のスオウの心材で重ね初めした染料は「黄櫨染」(こうろぜん)とよばれ,黄櫨染で染めた「黄櫨染御袍」(こうろぜんのごほう)は天皇が重要な儀式の際に着用する束帯装束として知られる.

根皮は止血や解毒作用があり,腫れ物の解毒に用いる.