研究テーマ研究テーマ熊本大学大学院薬学教育部博士課程 医療薬学専攻大分豊府高校(大分)難波 七海熊本大学大学院薬学教育部博士課程 医療薬学専攻宮崎南高等学校(宮崎)米丸 興熊本大学薬学部14口腔癌患者では、CYLDと呼ばれる腫瘍抑制遺伝子の発現が低下してしまうと、化学放射線療法への抵抗性の獲得、浸潤・転移能の亢進といった様々な悪性化が引き起こされ、患者の生存率が著しく低下します。私はCYLD発現低下、悪性化が起こるメカニズムについて研究しており、解明されたメカニズムに基づく新たな治療法の探索を行っています。将来的には新たながんゲノム医療の対象として、CYLDを指標とした新たな分子標的治療を提供し、予後不良な患者さんの治療選択の幅を増やしていくことを目指しています。生命科学の進歩により個々の患者にあった個別化医療が推奨され、これは薬の効果の面だけでなく、副作用防止の観点からも重要となっています。わたしは小児医療を含むあらゆる領域で使用される解熱鎮痛薬アセトアミノフェンに着目し、特殊な3次元培養法や遺伝子発現制御技術などを駆使して遺伝性疾患における薬剤性肝障害のリスクを評価しています。副作用とそのリスク因子の研究が進むことで、患者個人に合わせた副作用のない薬物治療の実現が期待されます。博士号取得後は薬に関する高い専門性を生かしてチーム医療に参画するなど薬剤師としての臨床経験を積みながら患者目線で患者のための研究を続け、将来的には指導的立場で活躍することを目標としています。研究で身につけた問題解決能力を武器に、副作用のない薬物治療を自ら実現できる医療人として、患者さんのQOL維持・向上を重視した医療を提供します!当分野では、有効な治療薬が存在しない遺伝難病の新規治療薬を探索するトランスレーショナルリサーチ(基礎-臨床橋渡し研究)や、大規模なデータベースを用いた未知の薬物間相互作用に関する解析なども行っています。こうした基礎と臨床をつなぐ研究を行うなかで、医療現場における問題を抽出し、基礎と臨床双方の観点から解決できる力を日々養っています。ビジョン博士号取得後は、より臨床にフォーカスした研究活動を行っていきたいと思っています。特にがん薬物療法に関した専門性の高い知識・経験を身につけ、実際の臨床現場でしか分からない「臨床で求められている研究」ができる研究者を目標にしています。現在の研究活動を進めていく上で、熊本大学病院の診療科の先生方と共同研究を行っています。最前線に立ってがん患者さんへの治療を進めている先生方の意見を参考にすることで臨床的視点を養い、また日々の研究活動や学会発表等を積極的に行うことで基礎研究についても多角的な視野を身につけています。こうした基礎-臨床の繋がりを忘れず、臨床へ還元できる研究活動を目指し、日々自己研鑽に励んでいます。ビジョンアクションアクション って独創的な研究を展開しています。腫瘍抑制遺伝子CYLDの発現低下による予後不良・口腔扁平上皮癌患者に対する新規分子標的治療の確立Establishing novel molecular-targeted therapies for tumor suppressor CYLD-negative oralsquamous cell carcinoma patients with poor prognosis副作用のない薬物治療の実現を志向した薬剤性肝障害リスク因子の解明Elucidation of risk factors of drug-induced liver injury toward the realization of drug therapy without side effects「薬学研究」
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