活動報告

  活動報告詳細

第3回 エコファーマ中央官庁研修

実 施 日 : 2011.09.01〜09.02
研修場所: 厚生労働省、環境省
引率教員: 白崎哲哉准教授 (環境分子保健学分野)

参加学生: 5名 (1年生 1名、4年生 4名)

<厚生労働省>
・薬学系採用者の業務
・東日本大震災への対応
・新薬承認審査と 環境影響評価
・家庭用品審査法

<環境省>
・環境省概要
・東日本大震災への対応
・環境基本計画
・国際的化学物質管理
・化審法の改正
・環境リスク評価
・化学物質アドバイザー
・環境教育の推進

今回の研修では、短時間ではあったが、上記のように多くの内容について、その概略を学ぶことができた。3.11に発生した東日本大震災とその後の原発事故は、環境保全の重要性を改めて全世界に示すことになった。今回の震災は、放射性物質を含む化学物質の管理体制について多くの教訓を残している。日本では、化学物質管理に関する国際的な流れの中で本年4月より化審法改正が完全施行され、原発事故対応への反省からは、これまで例外とされてきた放射性物質に関する規制も環境省管轄となる。また、持続性社会の実現に向けて環境教育推進法も改正されるなど環境行政は大きく変わろうとしている。欧米では、医薬品による環境汚染も懸念されているが、この点については、まだ国内での規制の動きはないようである。そのような中で、国民の健康を守ることを最終使命とする我々薬学人にとって、生命を育む環境の保全は重要な課題であり、厚労省だけでなく、環境省が掌握する分野、あるいはその境界領域で薬学出身者が活躍できる場が多くあると思えた。

 特に今回は、東日本大震災の現状とその復旧・復興に大きな関心を持った。医療機関同士での医薬品の移動や処方箋・保険証の無い患者の方への医療用医薬品の授与についても、震災発生の翌日には、土曜日にもかかわらず、出勤した職員の方の機転で実に素早く対応されたことが分かった。今回のつらい経験を乗り越え、被災者の方々が安心して暮らせる街づくりをこれから進める中では、これまで手を付けられなかった多くの問題を解決する糸口をもまた見いだせるかもしれない。いや積極的に見出さなければならない。この国難にあっては、あらゆる分野の英知を注ぎ、スピードと熟慮をもって対応しなければなるまい。街づくりの過程で地域住民の意思決定に役立つ具体的なCO2排出量シュミレーション技術などこれまでにない開発中の手法の紹介もあった。この大震災からの復興過程は、"新しい日本"を作るための試金石になるであろう。我々薬学人も化学物質と生体との関係を健康と福祉の観点から詳細に学んでおり、他学部出身者とは違う観点で新しい日本の構築に貢献できると思う。今回の研修では話に挙がらなかったが、震災に強い街づくりでは、薬局を中心とした地域の薬品・化学物質管理体制の構築や環境保全・環境教育の実施、環境薬局の開設など薬学人でないとなかなか出ない発想を積極的に発信していく必要がある。化学物質アドバイザーもまだ44名しかおらず、薬学出身者はたった2名である。薬剤師はアドバイザーとして地域コミュニティの中で積極的にその役割を果たしていくべきであろう。弱者の立場で考えることのできる薬学人が積極的に担うべき役割は大きく、国の中枢機関においても、もっと我々が率先して活躍していっていいのではないだろうか。


ポスター発表: 平成23年9月26日(月)−
           於 熊本大学薬学部 蕃滋館ロビー

口 頭 発 表:  未実施

研修の手引き (pdf)
研修報告ポスター(pdf)
研修報告スライド (pdf)

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