活動報告

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第1回 エコファーマ海外研修(ラオス)

 坂井弘臣元ラオス大使と熊本−ラオス友好協会のご協力のもと、薬学科4年生1名・薬学科3年生7名・創薬生命薬科学科2年生1名と引率教員1名の計10名が、2009年8月30日(日)から9月6日(日)までの8日間、タイおよびラオスにおいて研修を行いました。

 今回の研修目的は、発展途上国の環境・公衆衛生・医療事情を薬学生自身が現地で視察し、その現状について把握するとともに、薬学生の視点から環境保健衛生や国際協力の在り方について認識を深め、自分たちに何ができるかを考えること、その思考を通してこれまでに薬学部で受けてきた教育を振り返り、これからの講義・実習に役立てるとこと、日本の現状の再認識とそれを構築・維持してきた人々の努力に思いを馳せ、今後の我が国および国際社会の発展に寄与できる人材に成長することです。

 今回の研修では、首都であり大都市であるバンコクおよびビエンチャンと地方都市であるルアンパパーンおよびサヤブリを訪問しました。バンコクは、たくさんの高いビルが建ち並んでおり東南アジアの経済中心地の風格が漂っていました。また、ビエンチャン空港では赤外線カメラで入国者の体温を測定しており、ラオスの第一印象として、予想よりも設備が整っているなと感じました。しかし、ビエンチェン市街に入ると交通状況の悪さや道路へのゴミ投棄など、法の順守が国民に行き届いていないことが感じられました。

 ラオスでの研修は、まず、保健省にラオス保健大臣を表敬訪問することから始まりました。ここでは、研修に参加した学生が大臣に直接質問して回答して頂くという貴重な体験をさせて頂きました。その中で、ラオスではトイレや上下水道の普及率が低いことから、最も多い死亡原因は感染症であること学び、水の衛生の重要性を再認識しました。そのほか、地域の保健局や病院、ラオス保健科学大学、市中の市場なども訪問しました。薬との観点からは、西洋薬を製造する国立の製薬会社とラオスの伝統薬である薬草を幅広く扱っている薬草センターを視察しました。これらの施設を訪問して最も印象に残ったことは、多くの国から支援を受けているということでした。建物そのもののほか、医療機器、道路にいたるまで支援をうけた国の国旗が表示されていました。一方、支援物資と現地の技術レベルのギャップから折角の支援が無駄になっている光景も目の当たりにしました。このことから、支援を行う場合、支援する側の思い込みや都合ではなく、相手国の現状をよく理解し、その国の現状から少し高いレベルの支援を行ない、発展の状況に合わせて段階的に支援して行かなければならないと痛感しました。また、少なくともラオスについては、環境問題の多くは衛生問題と密接に関連しており、グローバルな環境問題より解決が急がれることもわかりました。しかし、グローバルな環境問題に対しても今の段階から世界的視野で対応しつつ経済発展を遂げ、ラオス国民が将来被害者となることがないような政策や国際支援を期待したいと思いました。

 今回の研修では、ビエンチェン高校とラオス国立大学の学生寮も訪問し、現地の学生と交流を深めることもできました。実際に現地を訪れ、通常はお会いできない方々にお話しを聞けたり、現地の学生と交流できるなど、坂井元大使のご尽力で非常に中身の濃い充実した研修となり、机上の学問よりはるかに多くのことを全身で学ぶことができました。この研修に参加して確実に自分の力になったと感じています。今後、薬学人として、より広い視野を持ち、幅広く活動していきたいと思います。本研修がきっかけとなり、ラオス保健科学大学と熊本大学薬学部との提携も検討されており、今後ますます交流が深まることを期待します。

 なお、研修内容については、11月3日(火)の薬学展においてポスターで発表し、さらに11月9日(月)には、公開の報告会を開催して口頭で発表しました。本研修プログラムの開発と実施、および事前学習会、研修報告会では、坂井弘臣元ラオス大使に多大なるご協力を頂きました。この場を借りて心より感謝申し上げます。

研修の手引き(pdf)
研修報告ポスター(pdf)
研修報告スライド(pdf)

 

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