• HOME
  • 研究内容
  • ERK2は、HIVカプシドタンパク質の脱殻過程を制御する。
熊本大学
大学院生命科学研究部
環境分子保健学分野

〒862-0973
熊本市中央区大江本町5-1

misumi(*)kumamoto-u.ac.jp
※(*)を@に置き換えて
ご利用ください

  • トピックス

研究内容

ERK2は、HIVカプシドタンパク質の脱殻過程を制御する。

 HIV粒子プロテオーム解析の結果、HIVがコードするCAタンパク質の一つのSer16-Pro17モチーフにおいてSer残基特異的にリン酸化を受けていることを明らかにすることができた(J. Biol. Chem. (2010) 285(33):25185-25195.)。そして、このリン酸化を受けたモチーフを細胞内ペプチジルプロリルイソメラーゼPin1が認識することにより、HIV-1 RNAを保護していたCAコアのSer16-Pro17モチーフにおけるcis-trans異性化反応を介して崩壊するというHIV脱殻過程の新たなモデルを提唱している(図1右)。
 さらに、CAタンパク質のSer16-Pro17モチーフをSer残基特異的にリン酸化する酵素がERK2であることを同定した。(J. Gen. Virol. (2014) 95,1156-1166)ウイルスの出芽時、ERK2はCAタンパク質の前駆体であるPr55とともにウイルス粒子内に取り込まれる。その後、前駆体タンパク質Pr55はHIV ProteaseによってProcessingをうけ、intermediatesを生じると、CAタンパク質のSer16-Pro17モチーフがERK2によってリン酸化を受けるというモデルを見出した(図1左)。
ERK2やPin1は、HIV脱殻過程を標的とした新規の抗HIV剤の開発戦略となり得ると期待している。

ERK2-ver2.png

図1 ERK2は、HIVカプシドタンパク質の脱殻過程を制御する