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熊本大学
大学院生命科学研究部
環境分子保健学分野

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研究内容

プロリルイソメラーゼPin1は、HIV脱殻過程を制御する。

 HIVゲノムは、わずか20種足らずのタンパク質をコードしているにすぎない。そのため、ウイルス複製のために宿主由来のタンパク質を利用したり、ウイルス性タンパク質の機能発現ために翻訳時修飾・翻訳後修飾を利用する。したがって、HIV複製機構を明らかにするには、ウイルスゲノムレベルの解析だけでは不十分であるといえる。我々はHIV粒子プロテオーム解析により、HIV複製に関与する未知の宿主タンパク質や翻訳時修飾・翻訳後後修飾をつきとめ、真のHIV複製機構を明らかにしたいと考えている。


HIV粒子プロテオーム解析とは?
 感染性のHIV粒子を構成するタンパク質や翻訳後修飾を特定する方法の一つ(図1)。最新鋭の質量分析装置を使用します。

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 HIV粒子プロテオーム解析の結果、HIVがコードするCAタンパク質の一つのSer16-Pro17モチーフにおいてSer残基特異的にリン酸化を受けていることを明らかにすることができた(J. Biol. Chem. (2010) 285(33):25185-25195.)。そして、このリン酸化を受けたモチーフを細胞内ペプチジルプロリルイソメラーゼPin1が認識することにより、HIV-1 RNAを保護していたCAコアのSer16-Pro17モチーフにおけるcis-trans異性化反応を介して崩壊するというHIV脱殻過程の新たなモデルを提唱している(図2)。Ser16をリン酸化するリン酸化酵素やPin1は、新規の抗HIV剤の標的となり得ると期待している。

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