ウイルス標的細胞内のalpha-enolaseは、ウイルスのインテグレーションを阻害する。
我々は、ウイルス粒子に取り込まれた解糖系酵素alpha-enolase (ENO1)が、HIVの逆転写過程を阻害することを明らかにしていた (Biochem. Biophys. Res. Commun. (2017) 484(2): 278-284.)。そもそも、どうして解糖系酵素がウイルス粒子内に取り込まれる必要があるのかということは、明確にされていなかった。一方、ウイルス標的細胞内の解糖系酵素alpha-enolaseは、ウイルスの複製にどのような作用を示すのか明らかになっていなかった。結果として、標的細胞内のENO1は、エントリーしてきたウイルスの組込み過程を阻害することがわかった。つまり、それぞれ異なる機序でHIV-1複製過程を負に制御することを明らかにした。ENO1によるHIV-1複製阻害は、GAPDHやPKM2とは異なるため、解糖系酵素は独立してHIV-1複製を負に制御していると考えられた。
論文はこちら →Retrovirology (2020) 17: 31.