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熊本大学
大学院生命科学研究部
環境分子保健学分野

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研究内容

GAPDHによるウイルス前駆体タンパク質のキャプチャリング

岸本助教、鬼塚、伊賀らは、「HIV粒子内へのtRNALys3取込み阻害を担うGAPDHとHIV前駆体タンパク質Pr55gagの相互作用部位」を明らかにした(Biochem. Biophy. Rep. (2016) 8: 325-332.)。HIVの複製においてウイルス粒子内への宿主由来のtRNALys3取込みは逆転写反応開始のための必須イベントである。リジルtRNA合成酵素(LysRS)と相互作用したtRNALys3は、LysRS-tRNALys3複合体としてウイルス前駆体タンパク質と結合し、ウイルス粒子内に取込まれることが報告されている。本研究によりGAPDH四量体(GAPDH tetramer)がウイルス前駆体タンパク質のマトリックス(MA)およびカプシド(CA)ドメインと相互作用することにより、LysRS-tRNALys3複合体のウイルス粒子内取込みを阻害しているモデルを提唱できたと考えている。ウイルス前駆体タンパク質とLysRS-tRNALys3複合体の相互作用様式については未だ議論の余地があるものの、今後GAPDHとウイルス前駆体タンパク質の相互作用に関する知見を活用することで、より詳細なtRNALys3取込み機構を明らかにできることが期待され、HIV逆転写反応そのものを阻害する治療戦略を立案したいと考えている。

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