医薬品添付文書は医薬品情報の中で唯一法的根拠のあるものですが、新生児・小児に関する情報記載は全くないもの、または「小児に対する安全性は未確立である」と記載されているものが大多数を占めている現状です。したがって、新生児・小児の薬物治療においては、添付文書に記載されていない適応疾患、年齢、用法・用量で投与せざるを得ない状況であり、適した剤形がない薬剤においては、市販薬の剤形変更(錠剤の粉砕や脱カプセルなど)や投与経路の変更などを余儀なくされます。新生児・小児においては、大人と同様の安全で効果や品質が保証された薬物治療が提供されておらず、その多くが未承認医薬品やオフラベル使用医薬品による治療となり、まさしく"therapeutic orphan"の現状にあります。 特に、本邦における新生児・小児に対する薬物治療は、未承認医薬品やオフラベル使用医薬品が欠かせないものとなっており、これらの薬物使用に関する対策は諸外国に比べてかなり遅れています。 臨床現場で、このような薬物使用の問題が明らかになっていながら対応が進んでおらず、実際に行われた対策の効果が明確でない原因の一つとして、未承認医薬品・オフラベル使用医薬品の使用の実態が数字としては不明であるということが考えられます。 このため、臨床現場で使用の実態把握が必要となります。 本研究では、病院や薬局での未承認医薬品・オフラベル使用医薬品の実態調査を実施しています。