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研究内容

低酸素血症動物モデルにおける各種呼吸興奮薬の中枢神経傷害性に関する検討

新生児に使用されている医薬品は治療の有効性ならびに安全性に関するエビデンスが欠如したままにされていることが多いのが現状です。 未熟児無呼吸発作治療薬として使用されているメチルキサンチン製剤もそのような医薬品のひとつです。 メチルキサンチン製剤は脳内アデノシンとの拮抗作用により呼吸中枢を刺激し無呼吸を改善すると考えられています。 しかし脳内アデノシンは低酸素による傷害に対して神経保護効果を有しているため、低酸素血症を呈した状態でメチルキサンチン製剤が投与されるとアデノシン拮抗作用により中枢神経細胞傷害を悪化させることが懸念されます(図1)。
我々は低換気により低酸素血症を引き起こした実験動物モデルを構築し、アミノフィリンを投与したところ、正常換気群と比較して顕著な海馬神経細胞傷害を誘発し、神経細胞傷害の指標である血清中脳由来クレアチンキナーゼ(CK-BB)が増加することを明らかにしました(図2)。 これにより通常の呼吸状態では見られないアミノフィリンの副作用が無呼吸発作時の低酸素血症状態で見られることをin vivoで初めて証明し、無呼吸発作時のアミノフィリン投与が患児の中枢神経を傷害している可能性を示しました。 現在、これらの結果を国際誌に投稿中です。 また、in vitroでの試験やその他の無呼吸発作治療薬の安全性評価も行っています。

図1

図1

図2

図2

(画像をクリックすると詳細の閲覧が可能です)

~論文~

  • Tanaka K, Ishitsuka Y*, Kurauchi Y, Yamaguchi K, Kadowaki D, Irikura M, Katsuki H, Irie T, Comparative effects of respiratory stimulants on hypoxic neuronal cell injury in SH-SY5Y cells and in hippocampal slice cultures from rat pups, Pediatrics International, in press
  • Somekawa-Kondo T#, Yamaguchi K# and Ishitsuka Y #*, Ito S, Tanaka K, Irikura M, Moriuchi H, Takahama K, Ando Y, Yamazaki T, Irie T, Therapeutic doses of aminophylline induce guinea pig hippocampal neuronal cells under low-tidal volume hypoxic conditions, Journal of Pharmacy and Pharmacology, 65, 102-114 (2013) (# These authors contributed equally to this work)
  • 中島禎子, 染川智子, 石塚洋一, 入倉充, 森内宏志, 上野信恵, 中田美穂子, 永田四郎, 安東由喜雄, 杉内博幸, 副田二三夫, 白﨑哲哉, 高濱和夫, 山﨑俊夫, 入江徹美, 低酸素血症動物モデルにおけるアミノフィリン及びドキサプラムの中枢神経に及ぼす影響, 日本小児臨床薬理学会雑誌, 19, 115-119 (2006)
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