タンナトリカブト


Aconitum napiforme Lev et Vant   キンポウゲ科

 西日本から朝鮮半島に分布する。雄べに毛がなく,花柄の毛が曲がっている。北海道のタイセツトリカブト,テリハブシ,リシリトリカブト等に比べ小柄である。また,塊根も小さい。九州の山々に野生する。10月に紫色の花を付ける。全体に毒性があり,特に地下部は強い。その毒性はトリカブト事件でも有名である。漢方薬では母根を烏頭,子根を附子,子根を出さなかった母根を天雄と言い,体の衰えた人の新陳代謝の亢進を目的に八味丸などの漢方処方に配合される。ハナトリハブトなどが栽培され園芸,生け花として用いられる。トリカブト属は北半球にしかなく,洋の東西を問わず,毒草として名高い。アイヌの毒矢,中国では漢方薬,また,毒矢として戦争に,古代ローマのディオスコリデスは著書の中でオオカミ退治に肉にいれて使用すると書いてある。北半球の毒矢か全てトリカブトであるが,南半球はストロファンツスとかイポーを用いる。トリカブトの成分は毒性の高いアコニチン類である。また,微量強心成分ハイゼナミンを含む。漢方薬の薬効を理解するだけの成分分析は今だ不十分である。
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