熊本大学薬学部薬用植物園 植物データベース

ガマ科
Typhaceae
ガマ
Typha latifolia L.
ガマ
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  • ガマ
  • ガマ
英名
bulrush, common cattail, nail-rod
中国名
寬葉香蒲
花期
6~9月
生薬名
①蒲黄(ホオウ),②香蒲(コウホ)
薬用部位

①花粉,②全草

成分

フラボノイド(isorhamnetin, rutin)

化学構造式

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  • ガマ 化学構造式1
  • ガマ 化学構造式2
産地と分布

北海道から九州北部,および北半球の温帯全般,オーストラリアに分布し,沼沢地,水中に生える.

植物解説

多年草.草丈1~2 m.根茎は長く横走し,白色.茎は直立し,単一で太く円柱形,中実,葉は線形で長さ50~120 cm,平滑で扁平,全縁で基部は抱葉し葉鞘となる.茎の頂に花穂を付け,上部は雄花,下部は雌花となる.
和名のガマは朝鮮語のカムに由来するとされる.カムとは材料の意で,ガマの葉を編んでむしろや敷物とすることに関係があろうと牧野冨太郎は言っている.

薬効と用途

止血作用があり,切り傷に塗布する.その利用は『古事記』の「因幡の白兎」に描写され,日本古来の薬物使用の記述とされる.その他火傷,鼻血などには花粉を塗布し,また下血,吐血には生の花粉を服用する.全草は利尿作用がある.
根茎は多量の澱粉を含み,各地で食用とされた.若芽も食べられる.葉はすだれや籠(かご)の原料とされた.成熟した雌花穂からは穂綿を生じ,布団のつめ綿,灯心などに利用された.

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