熊薬ニュースレター創刊号
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03培養視床下部組織切片に小胞体ストレス誘導薬(tunicamycin)を投与すると、オレキシンニューロンが選択的に減少した香月博志教授らのグループは、オレキシンニューロンが他の視床下部ニューロンと比べて一酸化窒素(NO)の細胞毒性に対して脆弱であることを見出し、睡眠不足が引き金となって脳内で産生されたNOが、オレキシンの折りたたみ不全を亢進し、オレキシンニューロンの選択的変性を招くことを明らかにした。睡眠不足が招く神経変性 -ナルコレプシー発症機序の一端を解明-。塚本佐知子教授らのグループは、ユビキチン-プロテアソームシステムにおいて、標的タンパク質のポリユビキチン化を司るE3酵素Hdm2に着目し、特にp53の分解に関与しているHdm2に対する阻害物質として、群体ボヤからsiladenoserino A を単離した。塚本教授らのグループは、インドネシアの海において海洋生物を採取し、様々なユニークな化合物を発見している。大槻純男教授、伊藤慎悟助教らのグループは、最新の質量分析装置を応用して脳内のアミロイドβを高感度かつ特異的に定量することで、アミロイドβの脳からの消失経路である排出経路と分解経路の寄与率を初めて明らかにすることに成功した。さらに、インスリン分解酵素がアミロイドβの排出経路と分解経路の両方に関わっていることを明らかにした。本成果はアルツハイマー病のリスクとしての糖尿病の関わりを説明する手がかりとなる。アミロイドβの脳からの消失経路を解明。2013年 J. Cereb. Blood Flow Metab. などに発表中川和子教授らのグループは、実用可能な個別化薬物療法を目指してPD(副作用としての生活習慣病発症を含む)に関係するPKパラメータと、遺伝並びに他の患者要因の影響を、総合的に、かつ定量的に解明する精神神経疾患治療薬の母集団PK/PD解析に着手し、すでに、一部の抗てんかん薬や抗うつ薬において実質的な成果を上げている。遺伝情報に基づく精神神経疾患治療薬の個別化薬物療法を提起。2012年 Epilepsy Res. などに発表2013年 J. Neuroscience などに発表E3酵素Hdm2 に対する阻害物質siladenoserino A の単離。2013年 Org Lett. などに発表薬物活性学分野天然薬物学分野微生物薬学分野薬物治療学分野

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