熊薬ニュースレター創刊号
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02薬学生化学分野杉本幸彦教授らのグループは、単一細胞からのマイクロアレイ(網羅的遺伝子発現解析法)を可能にするRNA増幅法を開発し、同一組織内に存在する二種類のマスト細胞クラスの遺伝子発現プロファイルを世界で初めて明らかにするとともに、未成熟なマスト細胞が分泌するホスホリパーゼが線維芽細胞に作用してプロスタグランジン(PG)D2産生を促し、これがマスト細胞成熟を促進することを見出した。さらに、古くから知られるPGE2の炎症惹起作用が、EP3受容体を介した抗原非依存的なマスト細胞の直接活性化によることを発見した。新たな炎症惹起メカニズムを発見。2013年 Nature Immunology に発表造影剤腎症の予防薬や癌耐性克服剤として、新しい機能性アルブミンを開発。2013 年 Kidney International などに発表2012年Nature ImmunologyのNews&Views に池水信二准教授は、2007年にNature Immunol. にIL-15とその受容体の複合体の結晶構造を明らかにした。今回は、他の研究者のIL-2とIL-15のシグナル伝達複合体の結晶構造の解析の結果について考察し、IL-2とIL-15の機能の違いが、サイトカインとその受容体のα鎖との親和性の差や、α鎖のリンカー領域がもつ構造の柔軟性の差により生じることを提唱した。IL-2とIL-15のシグナル伝達を解説。2013年 Angew. Chem. Int. Ed. などに発表新概念に基づく高効率、高選択的有機分子触媒を開発。中島誠教授らのグループは、独自に設計した軸不斉N-オキシドやホスフィンオキシドBINAPOが、いくつかの不斉反応における触媒あるいは配位子として有効であることを見出した。これらの反応は、有機オキシド化合物を利用する不斉反応の初めての成功例であり、有機合成化学における有機オキシド化合物の新たな可能性を拓いたものである。丸山徹教授らのグループは、抗酸化・抗炎症作用を有するチオレドキシンを融合させたアルブミン融合体が造影剤時の腎障害予防に有効であることを見出した。また、抗癌剤が効かなくなる現象(がんの多剤耐性化)に対して、マウスを用いた実験や、ヒトの癌細胞を用いた検討を重ねた結果、非常に有効な一酸化窒素付加(SNO)アルブミンの開発に成功した(表紙掲載)。機能分子構造解析学分野分子薬化学分野薬剤学分野

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