熊薬ニュースレター創刊号
2/12

012012年以降2013年10月までの熊薬からの最先端の主な研究成果。2012年 Nature に発表紫外線による皮膚がんの発症を抑えているDNAポリメラーゼηがDNAを合成する仕組みを解明。中村照也助教、山縣ゆり子教授らのグループは、DNAポリメラーゼηの結晶における遅い反応を利用し、反応中間体の構造をより高い時間分解能かつ空間分解能で決定していき、ヌクレオチド転移反応の過程をリアルタイムかつ原子レベルで観察することに成功した。今回、明らかにした反応機構のなかでも、第3のMg2+が関与することは、これまで想定されてきた2金属イオン機構では確認されていない。DNAポリメラーゼのもつ共通の特徴なのかもしれない。 機能分子構造解析学分野2012年 Molecular Cell に発表細胞内の異常なタンパク質を取り除く新しいメカニズムを発見。遺伝子機能応用学分野甲斐広文教授らのグループは、家族性アミロイドポリニューロパチーの原因タンパク質であるトランスサイレチン(TTR)を用いた研究から通常の小胞体関連分解(ERAD)経路である糖鎖非依存的ERADとは異なる糖鎖依存的ERAD経路での分解を発見し、翻訳後N型糖鎖修飾を介した品質管理機構は既存の分解機構の障害時や分解処理能力を超えて産生されたミスフォールドタンパク質を処理するためバックアップ機構として働き、タンパク質生合成の恒常性維持に貢献していることを明らかにした。(この成果は表紙にてクローズアップされ表紙デザインも担当した。表紙デザインは原発事故を風刺しながら細胞内タンパク質の異常チェック機構の巧妙さを表している。)本研究から提案されたヌクレオチド転移反応機構の模式図抗がん薬候補を海洋生物から発見(本研究により、中村照也助教は平成25年度 日本結晶学会進歩賞を受賞。)

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です