01. キハダ
・ラテン名; Phellodendron amurense RUPR.
・科名; ミカン科
・生薬名; 黄オウ柏バク
・薬用部位; 内皮
・産地; 北海道から九州、朝鮮半島、中国北部
・成分; アルカロイドのベルベリンなど
・薬効、用途; 腸内殺菌、消化不良、解熱、胸腹部の炎症
健胃、下痢止めに:黄柏の粉末を1回1グラム、1日3回
食後に服用する。打撲傷に:黄柏の粉末に食酢を加え、パス タ状によく練って、患 部に直接塗ってガーゼなどをあて、乾 いたら取り替える。
・漢方処方; 黄連解毒湯、温清飲など
・マメ知識; 非常に苦い生薬である。この水製エキスは古くから「陀だ羅ら尼に
助すけ」、「お百草」、「煉ねり熊くま」という名の健胃整腸薬として販
売されている。

02. カワラヨモギ
・ラテン名; Artemisia capillaris THUNB.
・科名; キク科
・生薬名; 茵蒿インチンコウ
・薬用部位; 全草
・産地; 本州、四国、九州、沖縄、朝鮮半島、中国、台湾
・成分; ピネン、カピロン、カピレン、カピリン
・薬効、用途; 抗カビ、駆虫作用、肝炎、黄疸、蕁麻疹、むくみ等
・漢方処方; 茵蒿湯、茵五苓散
・マメ知識; 川原に生えるヨモギという意でこの和名ができたのだが、も
ち草に使うヨモギとは薬効の点で全くちがう。 

03. ステビア
・ラテン名; Stevia rebaudiava
・科名; キク科
・薬用部位; 葉
・産地; 南米パラグアイ
・成分; ステビオサイド
・薬効、用途; 甘味料、医薬品の矯味料、低カロリー食品
・マメ知識; 砂糖の200〜300倍の甘味があるが、ノンカロリーである。

04. ペパーミント(セイ ヨウハッカ)
・ラテン名; Mentha piperita L.
・科名; シソ科
・薬用部位; 葉
・産地; 南ヨーロッパ、カナリー諸島
・成分; メントール、メントールエステル、メントン
・薬効、用途; 芳香性健胃薬、解熱、発汗、血管拡張
・マメ知識; その用途は広く、肉料理やソースに使われたり、カクテル類
やリキュール、洋菓子の香付けや風味付けに使われる。因に
ハッカ(生薬名・薄荷)は、ハーブとして使われるほか、漢
方で加味逍遥散、防風通聖散等に配合されている。

05. ローズマリー
・ラテン名; Rosmarinus officinalis L.
・科名; シソ科
・生薬名; (迷迭香)
・薬用部位; 葉
・産地; 地中海沿岸、ヨーロッパ
・成分; ピネン、シネオール、竜脳、樟脳
・薬効、用途; 鎮痛、発汗、健胃、香料、肉料理などのハーブ
・マメ知識; 花言葉は「変わらぬ愛と思い出」。ローズマリーの花から取っ
た蜂蜜は最高級品とされ、南フランスの名産である。

06. ミシマサイコ
・ラテン名; Bupleurum falcatum L.
・科名; セリ科
・生薬名; 柴胡サイコ
・薬用部位; 根
・産地; 中国、韓国、日本(宮崎、鹿児島など)
・成分; サイコサポニン、脂肪油など
・薬効、用途; 解熱、鎮痛、抗炎症、強壮、肝疾患
・漢方処方; 大柴胡湯、小柴胡湯、柴胡桂枝湯など
・マメ知識; 柴胡剤の主薬として汎用される。柴胡剤は胸脇苦満(胸脇部
に充満感があって苦しい)を呈するものに使われる。小柴胡
湯が種々の肝疾患に使われてきたが副作用で死者もでた。し
かし、本来、小柴胡湯は体力が中程度以上の人に用いるべき
ものであって、老人や体力のなくなった人には用いるべきで
はない。専門医等の問診を受け自分の「証」に合った漢方薬
を服用するべきである。

07. ハルウコン
・ラテン名; Curucuma aromatica
・科名; ショウガ科
・生薬名; 薑キョウ黄オウ
・薬用部位; 根茎
・産地; インド、マレー諸島
・成分; クルクミン
E薬効、用途; 食欲不振、胸脇腹痛、月経痛、健胃、利胆、食品(カレーな
ど)の黄色着色料
・漢方処方; 馬明湯など
・マメ知識; ウコンとの違い:花は春咲きで、白色に淡い紅色のぼかしが
あること、花序は葉と葉の間からでないこと、葉の裏には軟
毛が生えること、根茎がウコンが紅黄色であるのに対して、
ハルウコンは淡黄〜黄褐色であることなどに大きなちがいが
ある。 

08. ガジュツ
・ラテン名; Curcuma zedoaria ROSC.
・科名; ショウガ科
・生薬名; 莪がじゅつ
・薬用部位; 根茎
・産地; 中国、ベトナム、タイ
・成分; シネオール
・薬効、用途; 芳香性健胃、興奮、駆風、鎮痛、通経薬
・漢方処方; 莪述散など
・マメ知識; 近年、抗癌作用があるとして注目されている。
 
09. ショウガ
・ラテン名; Zingiber officinale ROSCOE
・科名; ショウガ科
・生薬名; 生姜ショウキョウ
・薬用部位; 根茎
・産地; 中国、韓国、インド、東南アジア、アフリカ、日本
・成分; ジンギベレン、ジンゲロールなど
・薬効、用途; 芳香性健胃薬、新陳代謝亢進、鎮咳、つわりの嘔吐に
・漢方処方; 葛根湯、桂枝湯など
・マメ知識; 焼き魚のつけ合わせや日本料理のあしらいに使われる「芽ショ
ウガ」は、種用根茎を促進栽培したモヤシである。

10. アイラトビカズラ
・ラテン名; Mucuna sempervirens
・科名; マメ科
・生薬名; (牛馬藤)
・薬用部位; 茎
・産地; 熊本県
・成分; ソヤサポニン I
・薬効、用途; 中国では民間薬として、月経不調、関節痛などに用いる
・マメ知識; 熊本県と中国大陸にしかない珍しい植物として特別天然記念
物に指定されている。

11. レモングラス
・ラテン名; Cymbopogon citratus STAPF
・科名; イネ科
・生薬名; (香茅)
・薬用部位; 全草
・産地; 熱帯各地
・成分; 精油(シトラール70〜80%)、メチルヘプテン、ゲラニオー
ルのカプロン酸、及びカプリン酸エステルなど
・薬効、用途; 鎮痛、下痢止め、抗真菌作用
・マメ知識; 中国では全草を薬用にし、風邪の頭痛、胃痛、関節疼痛など
に用いる。

12. ゴールドクレスト
・科名; ヒノキ科
・マメ知識; 含有成分のポドフィロトキシン( Podophyllum peltatum の根
より得られたリグナン)は細胞毒性が強く薬用にはされない。
専ら鑑賞用としてクリスマスツリー、庭木に使われる。

13. トチュウ
・ラテン名; Eucommia ulmoides OLIV.
・科名; トチュウ科
・生薬名; 杜仲トチュウ
・薬用部位; 樹皮、葉
・産地; 中国南部
・成分; グッタペルカ、イリドイド類、リグナン類など
・薬効、用途; 樹皮:滋養強壮、鎮痛、免疫賦活作用
葉:血圧降下、利尿
・漢方処方; 大防風湯など
・マメ知識; 血圧降下作用はアトロピンと拮抗する。葉をちぎると白く糸
をひく。

14. ジャノヒゲ
・ラテン名; Ophiopogon japonicus KER-GAWLER
・科名; ユリ科
・生薬名; 麦門冬バクモンドウ
・薬用部位; 塊根
・産地; 中国、韓国、日本(長野、群馬、鳥取)
・成分; オヒオポコニン(ステロイド配糖体)など
・薬効、用途; 漢方で止渇、強壮、鎮咳、去痰、鎮静に用いる。
・漢方処方; 麦門冬湯など
・マメ知識; 別名「リュウノヒゲ」とも言う。公園や庭園の下草として栽
培される。日本はジャノヒゲの分布の東限となっている。

15. オモト
・ラテン名; Rhodea japonica ROTH
・科名; ユリ科
・生薬名; 万年青マンネンセイ
・薬用部位; 全草
・産地; 日本中部以南
・成分; ロデインなどの強心配糖体
・薬効、用途; 強心、利尿、清熱、解毒、止血薬
・マメ知識; オモトの和名は「大本おおもと」に由来していて、株が太いことか ら、
オオモトのオの字がつまってできたものとされている。園芸
品として江戸中期から盛んに栽培されてきた。ジキタリス(
ゴマノハグサ科)、スズラン(ユリ科)にも強心配糖体が含
まれていて強心、利尿作用があるが、素人が扱うには非常に
危険である。

16. トウゴマ
・ラテン名; Ricinus communis L.
・科名; トウダイグサ科
・生薬名; 蓖麻子ヒマシ
・薬用部位; 種子
・産地; インド、中国
・成分; リチン、リチニンなど
・薬効、用途; 瀉下薬、火傷薬、解毒、抗腫瘍作用
・マメ知識; ものもらいに:皮を取り去った種子1個と同じくらいの梅肉
をねり、就寝時にへその中に詰めて、絆創膏などで止めてお
き、翌朝取り去る。瀉下薬とは強力な下剤のことで、ほかに
営実(ノイバラの偽果)、牽牛子ケンゴシ(アサガオの種子)がある。

17. クララ
・ラテン名; Sophora flavesens AITON
・科名; マメ科
・生薬名; 苦ク参ジン
・薬用部位; 根、葉
・産地; 本州、四国、九州の山野、中国、朝鮮半島
・成分; マトリン、ソファラミン、アロマトリン、クラリノンなど
・薬効、用途; 健胃、利尿、収斂止瀉薬、家畜の駆虫薬、抗腫瘍作用、抗真
菌作用
・漢方処方; 三物黄今湯、苦参湯など
・マメ知識; この和名は目もくらむほど苦いということに由来する。
手足がほてって眠れないときに:三物黄今湯を
うじ虫駆除に:乾燥した葉を細かく揉んで、便器にいれる

18. オウレン
・ラテン名; Coptis japonica MAKINO
・科名; キンポウゲ科
・生薬名; 黄連オウレン
・薬用部位; 根茎
・産地; 北海道、本州、四国の山中林地
・成分; ベルベリンなど
・薬効、用途; 苦味健胃作用、腸内殺菌作用、下痢止め、抗腎炎作用
・漢方処方; 黄連湯、瀉心湯、三黄瀉心湯など
・マメ知識; 結膜炎、ただれ目、中風にも効果がある。

19. インドジャボク(ラ ウオルフィア)
・ラテン名; Rauwolfia serpentina
・科名; キョウチクトウ科
・生薬名; 印度蛇木インドジャボク
・薬用部位; 根
・産地; インド
・成分; レゼルピン、アジマリン
・薬効、用途; 血圧降下剤、精神安定剤、抗不整脈
・マメ知識; インドでは毒蛇の咬傷、精神病に用いられていた。

20. カリン
・ラテン名; Chaenomeles sinensis
・科名; バラ科
・生薬名; 和木瓜ワモッカ
・薬用部位; 果実
・産地; 中国
・成分; リンゴ酸、クエン酸
・薬効、用途; 無毒、去痰、解酒、殺虫、清涼、滋潤、強壮、咳止め、疲労
回復
・マメ知識; 果実の切片を砂糖と煮てシロップとし鎮咳薬とする。

21. ホップ
・ラテン名; Humulus lupulus L.
・科名; クワ科
・生薬名; 勿布ホップ
・薬用部位; 毬果、雌花序
・産地; ドイツ、フランス、チェコスロバキア
・成分; humulone,lupulone など
・薬効、用途; 苦味健胃薬、鎮静薬、利尿、ビール醸造

22. トリカブト
・ラテン名; Aconitum japonicum THUNB.
・科名; キンポウゲ科
・生薬名; 附子ブシ
・薬用部位; 塊根
・産地; 中国、日本
・成分; アルカロイドのアコニチンなど
・薬効、用途; 漢方で強心、鎮痛、新陳代謝亢進
・漢方処方; 八味地黄丸、真武湯
・マメ知識; 矢毒として使われていた。植物成分中最強の毒。漢方では重
要な生薬として加工し毒性を押さえて使用する。早春の頃、
同じキンポウゲ科のニリンソウの葉と間違えて食用にし、死
亡するケースがある。ニリンソウの根にはトリカブトのよう
な塊根が無いので見分けられるが、怪しきは取らないほうが
無難である。

23. マオウ(クサマオ ウ)
・ラテン名; Ephedora sinica STAPF など
・科名; マオウ科
・生薬名; 麻黄マオウ
・薬用部位; 地下茎
・産地; 中国、イラン、インド
・成分; エフェドリンなど
・薬効、用途; 喘息治療薬、鎮咳薬、発汗、解熱、利尿
・漢方処方; 小青竜湯、葛根湯、麻黄湯など
・マメ知識; エフェドリン製剤の原料である。

24. カンゾウ
・ラテン名; Glycyrrhiza uralensis FISHER , G. glabra L.
・科名; マメ科
・生薬名; 甘草カンゾウ
・薬用部位; 根及びストロン
・産地; 中国、ロシア、スペイン、イラン
・成分; グリチルリチンなど
・薬効、用途; 鎮痛、鎮痙、鎮咳、去痰、消化性潰瘍治療薬
・漢方処方; 葛根湯、小青竜湯、芍薬甘草湯、小柴胡湯など
・マメ知識; イヌカンゾウの「イヌ」とは「にせもの」を意味するが、中
国では、イヌカンゾウもカンゾウの代用品として使われてい
る。また、甘草は古方の薬方中、70%以上に使用され、他薬
と配合してその作用を増強する。

25. ニンジンボク
・ラテン名; Vitex cannabifolia
・科名; クマツヅラ科
・生薬名; 牡荊子ボケイシ
・薬用部位; 果実
・産地; 中国
・成分; 未精査
・薬効、用途; 風邪や暑気あたりによる吐き気に用いる
・マメ知識; 8〜9月ごろ、黒く熟した果実をとり、陰干しにしたものを牡
荊子ぼけいしと呼ぶ。

26. ミツバハマゴウ
・ラテン名; Vitex trifolia
・科名; クマツヅラ科
・生薬名; 蔓荊子マンケイシ
・薬用部位; 種子
・産地; 朝鮮半島からオーストラリア、南アジアにまで広く分布
・成分; ビテキシカルピンなど
・薬効、用途; 鎮痛、鎮静作用、神経痛、手足のしびれ、ひきつりに。また、
頭痛、風邪、中耳炎でうみが出るときなどにもちいる。
・漢方処方; 蔓荊子散など
・マメ知識; 10〜11月ごろ果実をとり、乾燥させたものを蔓荊子まんけいしとよ ぶ。

27. オケラ
・ラテン名; Atractylodes japonica KOIDZ. ex KITAMURA
・科名; キク科
・生薬名; 白朮ビャクジュツ
・薬用部位; 根茎
・産地; 和白朮は日本・韓国、唐白朮は中国
・成分; atractylon
・薬効、用途; 健胃、整腸(アトラクチロンが嗅覚を刺激して、反射的に胃
液の分泌を盛んにする)、利尿、止汗。神経質でめまいや動
悸、息切れがして、頭が痛いときにもちいる。
・漢方処方; 四君子湯、六君子湯、補中益気湯など
・マメ知識; オケラは薬にしたり、梅雨時の湿気払いやかび防ぎにその根
茎を掘り取って使うなど庶民の生活に古くから溶け込んでい
た薬草であった。「日本薬局方」ではオケラの根茎の外皮を
除いたものは白朮、蒼朮は中国産のホソバオケラの根茎をそ
のまま皮を除かずに乾燥したものと規定している。

28. シラカシ
・ラテン名; Quercus myrsinaefolia Bl.
・科名; ブナ科
・薬用部位; 葉
・産地; 本州、四国、九州
・成分; フラボノイド、タンニン、トリテルペノイドなど
・薬効、用途; 結石溶解及び形成抑制作用があるとされ胆石症、腎結石に用
いられる。
・マメ知識; 日本独自の民間薬。ウラジロガシの葉も同様に用いられる。

29. クチナシ
・ラテン名; Gardenia jasminoides ELLIS
・科名; アカネ科
・生薬名; 山梔子サンシシ
・薬用部位; 果実
・産地; 静岡県以西〜沖縄、台湾、中国中南部、インドシナ
・成分; イリドイド配糖体(ゲニポサイド)、カロチノイド色素(ク
ロチン)
・薬効、用途; はれもの、打撲、腰の痛みに用いる
・漢方処方; 梔子鼓湯、梔子厚朴湯など
・マメ知識; 果実を乾燥した山梔子は、飛鳥、天平時代から、布を黄色に
染めるのに使われていた。

文章作成:2000年薬学 展、薬草園ツア−実行委員